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MIA surgery ― Minimally Invasive Aesthetic Surgery(低侵襲美容外科手術)という新しい概念

更新日:22 時間前

-はじめに

MIAsurgery

MIA surgery(Minimally Invasive Aesthetic Surgery / 低侵襲美容外科手術) は、傷を小さく、効果は大きく――そのバランスを追求するために生まれた新しい外科的概念です。

皆さまは「切らない美容医療」という言葉をよく耳にすると思います。

確かに「切らずに受けられる」「自然な変化で済む」というのは魅力的ですが、その一方で「ほとんど変化が分からない」「エステとの違いが見えない」と感じる治療が増えているのも事実です。 私自身、エステは大好きです。癒しの体験としては、あれを超えるものはないと感じています)


-心臓外科での経験から生まれた発想

私は美容外科に進む前、心臓血管外科医として働いていました。

当時の上司は MICS(Minimally Invasive Cardiac Surgery)=低侵襲心臓手術 の専門家で、私は年間200件ほど助手として手術に携わっていました。

心臓外科の世界では、従来「胸の真ん中を20〜30cm大きく切り開く正中切開」が主流でした。ところが、技術やデバイスの進化によって、肋骨の間からわずか5cm前後の小さな傷口で内視鏡を挿入して行うMICS、さらにはロボット支援手術やカテーテル治療が発展し、患者様の負担は劇的に減少しました。

「最小限の侵襲で、最大限の効果を得る」――この考え方こそが、美容外科の領域にも必要だと強く感じたのです。


-MIA surgeryとは?

MIA surgeryは「切らない治療」を指すわけではありません。あくまで美容“外科”治療として、確実な変化を出すことを大切にします。

  • 切る場合は最小限に

  • 手を加えるなら後戻りの少ない方法で

  • メンテナンスが最小限で済む効果を

自然に仕上げることは大切ですが、それは「変化がほとんど分からないこと」と同義ではありません。自然さは、バランスやデザイン、生まれ持った骨格を理解することで初めて成立するのです。

心臓外科で重症例に正中切開が必要であるように、美容外科でもフェイスリフトやタミータックなど大きな切開を伴う手技は今後も必要です。その線引きを適切に判断できるのが、本当の“外科医”だと考えています。


-デバイス進化とMIA surgeryの未来

MIA surgeryの中心には「安全で効果的に設計されたデバイス」があります。近年は多くの企業が新しい機器を開発していますが、特に注目しているのが以下です。

  • Inmode社のエンブレイス治療(切らないたるみ治療を進化させた、低侵襲デバイス)

  • Establishment社のPreserve(低侵襲シリコン豊胸)(従来のシリコン豊胸を進化させた新しいアプローチ)

これらのデバイスを正しく活用するには、外科的なトレーニングと解剖の理解が不可欠です。

「デバイスがあるから誰でも簡単にできる」

のではなく、医学的な背景を理解した上で適切に活かすことが、MIA surgeryの本質です。


-最後に

MIAsurgeryは「できるだけ傷を小さく」「できるだけ後戻りの少ない」「確実な変化を出す」ための新しい指標です。

単に“切らない”ことを目的にするのではなく、安全性と効果のバランスを追求し、患者様の将来を見据えた選択肢を提供することが目的です。

そして、この考え方を実現するためには、外科的トレーニングに基づいた技術力と、適切なデバイスを見極める知識が欠かせません。

どこまでをMIA surgeryで行い、どこからを従来の外科手術で対応するかを判断できる力――それこそが、これからの美容外科医に求められるものだと考えています。

次回は、具体的な治療内容について詳しくお伝えしていきます。

BIANCA CLINIC 銀座院院長 雜賀俊行

美容外科専門医(JSAS)

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