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ISAPS 2025 国際美容外科学会

アジア人女性の骨格構造に基づいた腹部形成術のアプローチを発表

2025年6月18日から21日にかけて開催されたISAPS(国際美容外科学会)に参加し、研究発表を行ってまいりました。今回の経験を通じて感じたことや、発表内容について皆様にご報告させていただきます。

国際美容外科学会への参加
ISAPS

特別な発表形式「ポスターディスカッション」

今回私が参加したのは、「ポスターディスカッション」という国内の学会では珍しい発表形式でした。デジタルポスターの前で2分間のプレゼンテーションを行い、その後同分野の発表者たちとディスカッションを行うという非常に刺激的な体験でした。


同セッションの発表演題

今回のボディ系セッションでは、以下のような興味深い発表が行われました:

  • A Tummy Tuck Complication: Nightmare for the Surgeon (Anirban Ghosh医師)

  • Buttock Augmentation Using Intramuscular Implants (Saumil Shah医師)

  • Innovative Modifications in Diamond Umbilicoplasty (Fatima Almohannadi医師)

  • Correction of Iatrogenic Gluteal Ptosis (Benny Yu医師)

  • Tummy Tuck Associated With Wide Plication and Rib Remodeling (Paulo Michels医師)

  • Patient-Reported Quality of Life Measures Following Weight Loss and Body Contouring (Anita Mohan医師)

タミータックや臀部の脂肪注入に関する発表が中心で、世界各国の美容外科医による最新の知見を共有する貴重な機会となりました。

国際美容外科学会の登壇メンバー
ISAPS登壇者

私の発表内容:「アジア人女性の骨格構造に基づいた腹部形成術のアプローチ」

研究の出発点

「なぜ私の腹部は、手術後も自然に見えないのでしょうか?」

この患者様からの率直な質問が、今回の研究の出発点でした。従来の西洋的なアプローチでは、アジア人女性特有の解剖学的特徴が十分に考慮されていないという問題意識から、この研究に取り組みました。


アジア人女性の解剖学的特徴

最近のHIFEM研究では興味深い結果が明らかになっています。西洋人患者では筋肉厚の著明な増加が見られる一方で、アジア人患者では-12%から+6%の範囲で一貫性のない変化を示します。これは、アジア人女性が本来的により薄い腹筋を持ち、運動や美容施術の両方に対して異なる反応を示すことを意味しています。

従来の西洋的アプローチは、ボリュームと凸状の筋肉隆起を重視しますが、アジア人患者においては、特に動的な場面(屈んだり動いたりする時)で不自然な外観を作り出してしまいます。


3つの主要な問題とその解決策

アジア人女性が抱える腹部形成における課題を以下の3つに分類し、それぞれに特化した解決策を提案します。

第一の問題:筋肉が薄くて隆起が作れない解決策:シャドウベースデザインによる視覚的な筋肉ライン創出

第二の問題:自然な立体感が出せない解決策:選択的脂肪保存によるコントラスト形成

第三の問題:動くと不自然に見える解決策:モフィウス8による皮膚引き締めで動的な自然さを実現

臨床結果

2年間にわたる35例の研究において、一貫して自然な結果を達成することができました。代表症例である産後患者では、自然な筋肉様輪郭、動的な場面での不整のない外観、そして妊娠前の状態を上回る皮膚の引き締まりを実現できました。


学会参加を通じて感じたこと

・民族的に適切な治療の重要性

今回の発表を通じて改めて確信したのは、美容医学の未来は「民族的に適切な治療」にあるということです。解剖学的差異を理解し尊重することで、すべての患者様に対して優れた自然な結果を達成できると考えています。

・国際学会への挑戦

日々の診療で積み重ねた経験や知見を、このような国際学会で発表できたことは大変光栄に思います。世界各国の美容外科医がエントリーする中で採択されるか不安もありましたが、チャレンジすることに意味があると信じて発表に臨みました。


今後の展望

今回の学会参加を通じて得た知見や、他の発表者との議論を踏まえ、今後もアジア人女性に最適な美容外科治療の研究を続けてまいります。患者様一人ひとりの解剖学的特徴を十分に理解し、より自然で美しい結果を提供できるよう努力を重ねてまいります。

国際的な舞台での発表は緊張もありましたが、同時に大きな学びと刺激を得ることができました。今後も積極的に学術活動に参加し、得られた知見を日々の診療に還元していきたいと思います。


BIANCA CLINIC 銀座院院長 雜賀俊行

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